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  2. 木を知り、木とともに過ごした3年間 ~最後の林業高校・最後の卒業生~
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ここで学んだこと
〜 未来のフォレスターに聞く〜

生徒

自然と向き合い、木と向き合うことの難しさやすばらしさ。
3年間林業を学んだ生徒たちにお話を聞きました。
まずは4月から「静岡県立農林大学校」へ進学する大原さん(左)と杉田さん(右)です。

― 3年間で思い出に残っている授業は?

大原さん(以下・大)
一番思い出に残っていることは、間伐とか枝打ち。
最初は怖かったけれど徐々に慣れましたね。自然が相手なので、一筋縄ではいかないところが魅力。

杉田さん(以下・杉)
ぼくも山に入って行う実習が印象に残っています。特に間伐。
自分の思い通りに木が倒れるとは限らないので全神経を使います。その分、やりがいも大きい!

大)
製材とか製作の実習は少し苦手だったな。ぼく不器用なんで……。
でも先生や友達がフォローしてくれて、無事切り抜けられました(笑)。そんな授業のこともいい思い出。

― 山での実習から始まって、木材への加工、椅子の製作、習うことがいっぱいですね。
ところで、おふたりが農林大学校への進学を決めたきっかけは?

杉)
進路について考え始めたころ、農林大学校のことを知りました。
「今まで学んだことを生かし、もっと林業を学んでから就職したい」と思ったのが進学を決意した理由。
入試に向けて試験勉強も自分なりにがんばりましたよ! 自分は林業高校出身だし、
正直「試験は楽勝」と思っていましたが、面接試験では専門的なことを聞かれてちょっと緊張(笑)。
でも同時に、「大学校ってもっともっと深く学べる場所なんだ」ということが分かり、
合格した今はわくわくしています。

大)
ぼくの場合、高2のときに体験した森林管理署でのインターンシップが進学を決めたきっかけ。
先輩職員と一緒に整備や管理の作業をし、仕事内容をリアルにイメージできました。
大変だったけど楽しかったです。
学校の授業とはまた違う臨場感も味わえて、「この仕事がしたい!」と決心しました。
インターンシップで実感したことは「現場では、より専門的な知識と技術が必要」ということ。
だから、大学校では今以上に自分から積極的に学びたいと思っています。

― 最後に、天竜林業高校への思いを教えてください!

大

大)
林業高校で学んだことのすべてが、ぼくにとっての財産です!
専門的な林業について学んだことで漠然としていた自分の将来がしっかり定まりました。
ここで学べて本当によかったと思っています。

杉

杉)
3年間をこの高校で過ごしたことで、自分の生活態度がよくなったなぁと感じます。
「もっと勉強しよう」「メリハリをつけて生活しよう」と思うようになりました。
それから、先生方がとても親身になって接してくださったのもうれしかったです。
本当に感謝しています。

続いて、春から地元の製材所へ就職する戸塚さんに聞きました。

― この3年間でどんなことを学びましたか?

戸

戸塚さん(以下・戸)
自分たちで木を伐り、材木に加工して、ものを作る。
それぞれの実習全部が初めての経験でしたが、どれもが印象的でした。
丸太から木製品になる過程を見ることって普通の生活にはないじゃないですか。
だから何ていうか、「もの」に対する価値観が変わりました。
木の椅子でも小物でも「どこで育った木なんだろう?どんな人が作ったんだろう?」と興味が湧くように。

― 作り手や、製品そのものの裏側が見えてくるようになったんですね。

戸)
そうですね。木製品はもちろんだけど、それ以外でもあらゆる物事の向こう側には
ストーリーがあるんじゃないかなって考えるようになったって感じですね。
物事に対する視野が広がりました。

― なるほど!ものづくりを通して学んだのですね。
部活動は「森林科学部」とのことですが、どんな活動をしていたのですか?

メンパ

戸)
一番思い出に残っているのはメンパ作り。
メンパとは木で作ったお弁当箱のことで別名「曲げわっぱ」。ぼくたちは杉で作りました。
木を曲げて形を作るのですが、きれいに曲げるために顧問の近藤先生と一緒に研究しながら、
みんなで作り上げました。そんな努力の結晶!のメンパ。
学園祭で展示販売したら5分くらいであっという間に完売して、めちゃくちゃうれしかったですね。
自分たちが作ったものが誰かに気に入ってもらえて、
その人のものになるってこんなにうれしいことなんだーって思いました。

― 卒業後は、どんな仕事に就くのですか?

戸2

戸)
天竜区内の製材会社で働きます。
3年間で身につけたことが生かせる場所に縁あって入社できて、
ぼくってツイてるな~って思います(笑)。
会社には高校の先輩もいるので心強いです。
毎日仕事をがんばって早く一人前になりたいと思っています。