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木彫りは「人と人をつなぐコミュニケーションツール」

2023.11.21 Tue

[ コラム ]

キシルの創業地、静岡県浜松を代表するお菓子といえば、誰もが知っている春華堂の「うなぎパイ」。その形をそっくりそのまま木彫りでつくり、口の中でさくっと噛んだ時のことや、甘い香りまで自然と思い出してしまうほど「美味しそう!」な作品をつくる、キボリノコンノさん。

木彫りのうなぎパイ

本当にこれは木…なのか!?「脳内がバグる」という言葉で多くのファンやメディアからも注目を集めているコンノさんの企画展に、今回キシルも参加させていただくことになりました。木彫り作品の材として、キシルの家具の端材を使っていただくことにもなり、改めてコンノさんの活動についてお話を伺いました。

キボリノコンノさんプロフィール写真

PROFILE

キボリノコンノ

1988年 東京都大田区生まれ。静岡文化芸術大学卒業後、家具メーカーにデザイナーとして就職し、結婚と転職を機に 浜松市へ移住。(在住)2021年より木彫り作品の制作を開始し、多くのメディアで取り上げられるように。2023年4月より、フリーランスの木彫りアーティストとして活動中。

木彫りのきっかけは、小さなコーヒー豆から

作品づくりのきっかけは、コロナ禍でお家で過ごす時間が増えた約2年前。ふと目に入ったコーヒー豆がなんだか木みたいだと思い、家にあった小学生の頃の彫刻刀を引っ張り出します。「そっくりになるかなと思って、なんとなくやってみようかな、から始まりました」とコンノさん。

その後、トースト、豆大福、納豆など、身近な食べ物や飲み物を木彫りで表現し、それをSNS上で発信すると、あっという間に多くの人に広まっていきました。

木彫りのトースト

紙工作より面白い、小学生の時に気づいた木の魅力

コンノさんの木のとの出会いは、小学生の時といいます。お父さんが端材を詰めた袋を買ってきてくれたことをきっかけに、はじめは積み木にしたり、ボンドでくっつけて釘を打って遊んだりしながら、次第に紙工作よりも木には強度がある面白さと、いろんな表現ができる幅広さに気づいたといいます。

木彫りのトーストの制作風景

美味しい瞬間を切り取る「魅力の分解」

作品づくりのインスピレーションをお聞きしたところ「食べ物だったら、美味しい瞬間をつくりたいと思っています。それがどういう瞬間か切り取るような作業です」とのこと。決してはじめからゴールが見えているわけではなく、削りながら徐々に本物に寄せていく作業で、それは立体でデッサンをするような感覚だそう。

作業中の脳内は「無心」だというコンノさん。「楽しい」でも「つらい」でもなく、作っていきながらゾーンに入っていくそうです。「手触りも視覚も、より感覚が鋭くなっていきます。手触りはすごく大事で、小さな凹凸や立体感を自分の中にインプットしていっています。」

木彫りの作品工程1

木彫りの作品工程2

木彫りの作品工程3

作品づくりはコンノさんいわく「魅力の分解」とのこと。どれだけ観察できるかが大事だと言います。それは毎日の生活でも大切にしていることの一つで、日々の豊かさにつながっているのだとか。
「家族にはうるさいほど伝わっていると思いますよ。この間も酢豚を食べるだけで、『わーこの湯気の感じ』『カリカリ感がすごい!』『口の中に入れるとジューシー!』とかいちいち分解してます(笑)」

美味しい瞬間を切り取る「魅力の分解」

コンノさんの作品は、思わず誰かに教えたくなるような面白さがあります。お話を伺いながら見えてきたのは、作品に向けるコンノさんならではの姿勢です。

「自分の作品を“作品”と思っていなくて、人と人をつなぐコミュニケーションツールだと思っています。」

作品を通じてお客さまとコミュニケーションが生まれること。見た人が別の人に見せたり伝えたくなって、コミュニケーションが広がっていくこと。この2つの意味が根底に流れるものづくりは、ただそっくりにつくるのではなく、魅力を分解しながら、人が無意識に反応している「美味しい瞬間」を切り取って、見る人の心の中を湧き立てるような驚きを与えています。

木彫りの作品工程

「思わず見せたくなるような作品にしたいなと思っていて、例えばクイズ形式で伝えたり、発信するときは意識している部分です。」

作品は会話のきっかけが自然と生まれるような、人と人のハブになるような存在。それは「木」という自然素材に対する想いにもつながっています。

「今回はキシルさんの木に対する想いにすごく共感して、作品に思いを込めることができて幸せに感じています。山や森を大切にしている人たちのバトンを、さらにつなげていきたいと思っていて、作品づくりのモチベーションにもなっています。」

木彫りの制作風景

木は生きているから、日々発見がある

木の素晴らしさや森を大切にすることは、頭ではわかっていても、楽しさや面白さへの転換はなかなか難しいところ。コンノさんの作品は、私たちが知らない木の可能性を、理性を通り越して「驚き」という反応として教えてくれます。

「木は魔法の材料だと思っています。面倒ではあるのですが、やっぱり木は生きているので、温度とか水分によって変わってくるから、表現の幅が広がるんです。まだまだ知らないことがいっぱいあって、日々発見です。これからも木を観察しながら、いっぱい引き出していきたいと思っています。」

木彫りのたいやき

木彫りのコーヒー

INFORMATION

- 春華堂 秋のキボリノコンノ展 feat.やまもとゆか -

春華堂 秋のキボリノコンノ展

  • 開催期間:2023年11月23日(木・祝) ~ 11月26日(日) OPEN:10:00~17:00
    ※キボリノコンノ氏: 全日13:00~ 在廊予定
  • 会   場:春華堂 POP UP STORE KANDA (SWEETS BANK斜め向かい)
    静岡県浜松市中区神田町553
  • 観 覧 料:大人500円、子ども(小学生以下) 300円、未就学児無料
    ※SWEETS BANKまたはMARUHACHIで「お買物 1,000円以上」のレシートで提示で入場可(1,000円につき1名)
  • U R L:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000056.000025522.html

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