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【新発売】こどもにやさしい学習机「kindデスク」優しさの秘密をご紹介します。

2020.06.03 Wed

[ 商品 ]

あたらしい学習机「kind(キント)デスク」の発売をスタート

18年間、キシルが学習机に向き合い続けて培った、知恵や技術。それらを集めて組み合わせたあたらしい学習机「kind(キント)デスク」の発売をスタートしました。発売のこの日まで、工場の職人・デザイナー・キシル編集部が一丸となり、大切に大切に温めてきました。

「kind(キント)」は、ドイツ語で「子ども」という意味です。さらに英語では「kind(カインド)=やさしい」という意味に。

キントデスク誕生のきっかけは、「今の時代にもう一度、子どもにやさしい、安心・安全な机を作りたい」という私たちの想いでした。子どもにとことんやさしい机を作るため、今までのキシルの学習机にあった「あたりまえ」を1から見直し、素材と機能の全てを一新して誕生しました。

キントデスクが持つ「子どもへの優しさ」を、普段はあまり公開していないキシルのものづくりの裏側とともに、紹介します。

体にやさしい、「オイル塗装のひのき」

オイル系塗料を表面にしみ込ませた、国産のひのき

キントデスクはキシルの他の家具と同じように、オイル系塗料を表面にしみ込ませた、国産のひのきを使っています。学習机の素材としては珍しいオイル塗装のひのきですが、今の時代に大切な、ある効果を持っているんです。

針葉樹であるひのきは、吸水性の高い素材

針葉樹であるひのきは、吸水性の高い素材です。家具となった状態でも、常に水分を吸ったり吐いたり、呼吸をしています。そのため、ウイルスがひのきに付着しても、汗などの水分と共に素早くウイルスを吸収・乾燥させ、感染力をなくす効果があるんです。

今までの学習机は、「ウレタン塗装」で仕上げるのが一般的

今までの学習机は、ブナ・ナラ・オーク材などの広葉樹を、「ウレタン塗装」で仕上げるのが一般的でした。ウレタン塗装は、木の表面を樹脂膜で覆ってしまうため、付着したウイルスは吸収されず、その場に留まってしまいます。

ウイルスを吸収するオイル塗装と、その場に留まらせるウレタン塗装

ウイルスを吸収するオイル塗装と、その場に留まらせるウレタン塗装。2つの抗ウイルス効果を比較すると、4倍ほどの差があります。創業以来、キシルがずっと続けてきた、「オイル塗装のひのき」という選択が、今この時代の「子どもへのやさしさ」につながっていました。

やさしさのハイブリッド!リノリウムの天板

キントデスクの天板は、抗ウイルス効果の高いひのきと、「リノリウム」という素材を組み合わせています。リノリウムは、ひのき同様「安心・安全」なやさしい素材です。

100%の天然素材

やさしさのハイブリッド!リノリウムの天板

一見すると、ビニールにも見えるリノリウム。 ひとたび触ってみると、なんとも言えない柔らかさや、しっとりとした質感があります。

それもそのはず、リノリウムは100%天然素材からできているため、自然の持つあたたかみがそのまま残されているのです。原料は、亜麻仁油をはじめ木の粉や麻など。色も、天然由来の色素で着色されています。

体と地球にやさしい

リノリウムの主原料である亜麻仁油は、空気に触れて酸化する過程で、ひのき同様菌やウイルスを不活化(=死滅させる)効果があります。さらに、静電気を帯びないためホコリもたまりにくく、ハウスダストアレルギーを防ぐ効果があります。WHO(世界保健機関)はリノリウムの抗アレルギー効果に注目し、床材として取り入れることも推奨しています。

リノリウムの抗アレルギー効果 グラフ

この抗菌・抗ウイルス・抗アレルギー作用が全て「天然由来」であることも、安心ポイントです。

天然素材でできたリノリウムは、ヒトだけではなく環境にもやさしい素材

天然素材でできたリノリウムは、ヒトだけではなく環境にもやさしい素材です。発火点(火のつく温度)が高いため燃えにくい性質があり、また燃やしてもダイオキシンなどの有害物質が発生しません。さらに、埋めると分解され、土に還ります。

北欧でも愛される素材

リノリウムは、北欧家具にも多く取り入れられています。北欧デザインを牽引したフィンランドのデザイナー、アルヴァ・アアルト(1898-1976)は、リノリウムと無垢材を組み合わせた家具を生み出しました。また、デンマークのある家具職人は、リノリウムのことを「無垢材と同じように生きている素材」「手で触れると自然を感じる」と、絶賛しています。

環境にやさしくサステナブルなリノリウムは、自然と共存する北欧の人々に愛されているのです。

キシルとリノリウム

キシルがリノリウムと出会ったのは、実は2年前のこと。天然素材が生み出すやさしい手触りと色に感銘を受け、「リノリウムとひのきを組み合わせた家具を作りたい!」と温め続け、形になったのがキントデスクでした。

オイル塗装のひのきにリノリウムを組み合わせる試みは、おそらく日本初、世界初のことです。(2020年6月4日時点)

オイル塗装のひのきにリノリウムを組み合わせる試み

2種類の天然素材を組み合わせた机づくりは、私たちにとって大きな挑戦でした。常に呼吸をしているひのきは、内部の水分量に応じて伸び縮みを繰り返します。形の変わるひのきと、形の変わらないリノリウム、双方をきれいに接着するのが、見た目以上に難しいことでした。

ときに負荷に耐えきれずひのきの部分が割れてしまったり、継ぎ目のところに段差が生まれてしまったり。

キントデスク リノリウムの天板

ようやく出来上がった天板は、2つの素材からできているとは思えないくらい、まっすぐでぴったりに仕上がりました。18年の間に培った知識と、木を知り尽くした職人の技術で数々の困難を乗り越え、キントデスクが完成しました。

納得のいくまでストイックに、「子どもにやさしい」を追求したキントデスク。完成までの道のりはやさしいものではなかったけれど、そこを乗り越えて生まれた「やさしさ」があります。素材・機能・形のすべてに、キシルの子どもへの思いをギュッと詰め込みました。

大切なお子さまの、1度きりのこども時代を支えていくお手伝いができたなら、こんなに嬉しいことはありません。

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