
里山って、世界でも『SATOYAMA』なんです。
2026.11.04 Wed
[ コラム ]
お寿司は「SUSHI」、もったいないは「MOTTAINAI」。実は「里山」も、海外で「SATOYAMA」として使われていることをご存じでしょうか。
私たちにはなじみのある言葉ですが、そこには、世界でも注目される自然との付き合い方があるんです。そして、キシルの家具に使っている木にも、つながるお話があります。
里山は、昔の人の暮らしを支えていました。
里山は、人が暮らす集落の近くにあり、暮らしのために手を入れてきた山や林のこと。昔の人はそこで薪を採り、家や道具に使う木を育て、落ち葉を田畑の肥料にしていました。くるみやくりなど、実を食べられる木も大切にしてきたのです。
今のように、お店に行けば何でも買える時代ではなかったからこそ、身近な山は頼もしい存在。自然の恵みをもらいながら、次も使えるように手をかける。そんな付き合いが続いてきました。
この知恵を、これからの暮らしにも活かそうという国際的な取り組みが「SATOYAMAイニシアティブ」。昔から日本にあった暮らし方が、世界の未来を考えるヒントにもなっているんですね。
くるみと山桜。育ってきた背景も違います。
キシルが家具に使っている国産のくるみ「Japanese Walnut」も、里山で人が大切にしてきた木のひとつです。実を楽しみ、木は暮らしの道具に活かす。人の暮らしのそばで、育まれてきた木です。
それに対して、「サクラノカグ」に使っているのは、日本の山で自然に育った、樹齢100年以上の山桜。家具の材料にするために、人が計画的に植えて育てた木ではありません。山の中に点在する木が、長い時間をかけて大きくなったものです。
山桜は里山にも生えますが、ここでお伝えしたいのは、育ってきた背景の違い。家具に使える大きさや質を備えた山桜は限られ、同じような材を、次も手に入れられるとは限りません。100年以上という時間も、すぐには取り戻せないもの。だからこそ、こうした木の価値は、これからますます見直されていくと私たちは考えています。
里山の木との出会いは、予定どおりにいかない。
そんな里山の木ですが、家具の材料として自由に使えるわけではありません。身近にある木でも、勝手に伐ることはできず、所有者の意向や、その場所の伐採のルールを守る必要があります。
キシルでは、工事や開発などの事情で、やむを得ず伐られることになった里山の木も、特別に使わせてもらっています。こうした出会いを支えているのは、日本の山や木に関わる人たちと、少しずつ築いてきたつながりです。ただ、いつ、どんな木に出会えるかは、私たちにも読めません。よい材に出会えても、乾燥させ、家具として使える状態になるまでには時間がかかります。
身近な里山の木も、必要なときに、必要なだけ手に入るものではない。だからこそ、そのときに出会えた木を、大切に使いたいと考えています。
ひのきは、過去から未来へ、受け継いでいく木
そんな「出会いを待つ木」がある一方で、使う日のために、人が植えて育ててきた木もあります。キシルが創業から長く家具に使い続けている、ひのきです。
苗を植え、下草を刈り、混み合った木を間引きながら、何十年もかけて育てる。私たちが今使っているひのきは、前の世代の誰かが、未来のために手をかけてくれた木なんです。
こうして計画的に育てられているからこそ、材料の供給にも見通しを立てやすくなります。ひのきの家具を、今の価格で暮らしにお届けできるのも、山で木を育てる人たちの仕事があってこそです。
日本では、江戸時代には各地で植林が盛んになっていました。木を使い、また植え、次の世代へつないでいく。その積み重ねは、今でいう「サステナブル」そのもの。もちろん、植えるだけで終わらず、その後も育て続けることが大切です。森林を持続的に管理することは、SDGsの目標にも掲げられています。
日本の木を、まずは手のひらで。
ひのき、くるみ、さくら。そして、限定品として登場したナラ。キシルでは、さまざまな日本の木を家具にしています。色も、木目も、触れたときの感触も、それぞれ違います。
その違いを気軽に楽しめるのが、「にほんの木 コースター」。ひのき、山桜、くるみ、けやき、くり、かえでの6種類を、見て、触って、比べられます。

いつもの一杯を置きながら、「この木は、どんなところで育ったんだろう」。そんなふうに思いを巡らせてみると、手元の木が、日本の山や昔の暮らしを少し身近にしてくれるかもしれません。


